助成金の不正受給をするとどうなるか

助成金は細かく要件が決まっていますので、理解すればするほど、この要件を満たしたように装えば助成金簡単に取れちゃうじゃん! と考える輩が出てきます。事業主を口車に乗せて、助成金の不正受給をあっせんするような業者の摘発も話題となっていました。

助成金の不正受給をするとどうなるでしょうか。バレたらお金返せばいいんでしょ? という方もいますが、有罪判決が下ることもあり、甘くみてはいけません。助成金の不正受給は国に対して詐欺を働くということですから。今日の秋田ニュースでも助成金の不正受給に有罪判決が出たという記事が掲載されていました。

助成金不正受給の保育園元事務長に有罪判決
秋田市の笑咲(えみ)保育園が助成金を不正受給した事件で、秋田地裁は26日、詐欺罪に問われた保育園元事務長の会社員石川悌被告(43)=由利本荘市石脇=に懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。判決によると保育園運営会社の元代表兼元園長の会社員石山宏央被告(58)=秋田市添川、詐欺罪で起訴=と共謀して2017年8~10月と12月、企業主導型保育事業の助成申請窓口となる公益財団法人児童育成協会(東京)に対し、在籍園児数などを水増しした虚偽の申請をして助成金計約103万円をだまし取った。(2018年12月27日河北ニュース)

助成金の不正受給とは

厚生労働省・労働局は、「不正受給」を「偽りその他の不正行為により、本来受けることのできない助成金の支給を受け、または受けようとした場合」と定義しています。

不正受給と判断されるとどうなる?

不正受給と判断されると以下のようなペナルティがあります。

  • 不正受給が発覚してから3年間は助成金を受給できなくなる
    (支給申請済みの審査中案件も含む)
  • 受給した助成金を返還しなければならない
  • 事業主名を公表される
  • 刑事告発される

不正受給の防止のため、キャリアアップ助成金のパンフレットには注意書きがあります。

不正受給防止のための留意事項
  1. 助成金の支給決定にあたり、事業所の実地調査にご協力いただく場合があります。また、実地調査等において、総勘定元帳等の書類や法定帳簿の確認等※を求める場合があります。
    本実地調査につきましては、予告なく実施する場合がありますが、予告の有無にかかわらず調査にご協力いただけない場合、不支給決定となりますのでご注意ください。
    ※申請書の添付書類として提出していただく出勤簿や賃金台帳等は法定帳簿として事業場において調製している原本又は原本を複写機等の機材を用いて複写したもの(原本等)である必要がありますが、調査等の結果、原本等ではない書類が提出されていることが明らかとなった場合、不支給決定となりますのでご注意ください。
  2. 原則として、提出された書類により審査を行います。不正受給を防止する観点から、一度提出された書類について、事業主の都合などによる差し替えや訂正を行うことはできませんので、慎重に確認した上で提出するようにしてください。
  3. 支給要件に照らして申請書や添付書類の内容に疑義がある場合や、審査に協力いただけない場合、助成金を受給できません。
    たとえば、申請書等に疑義があり、都道府県労働局長が追加的に書類を求めることや、書類の補正を求めることがありますが、都道府県労働局長が指定した期日までに提出がない場合、不支給決定となりますのでご注意ください。
  4. 不正受給※をしてから3年以内に申請をした事業主(又は、申請日後、支給決定日までの間に不正受給をした事業主)は助成金を受給できません。なお、不正受給を理由に支給決定を取り消された場合、都道府県労働局が事業主名等を公表することについて同意していない場合、助成金を受給できません。
    ※不正受給とは、偽りその他不正行為により本来受けることのできない助成金を受け、又は受けようとすることをいいます。例えば、離職理由に虚偽がある場合(実際は事業主都合であるにもかかわらず自己都合である場合等)も、不正受給にあたります。
  5. 助成金の支給決定後に不正受給が発覚した場合、助成金を返還していただきます。
  6. 支給申請書等の内容によっては、審査に時間がかかることがあります。あらかじめご了承ください。
  7. 助成金が受給された後、会計検査院の検査の対象になる場合がありますので、検査にご協力いただくことを同意していない場合、助成金を受給できません。
    なお、検査の対象となる場合があることから、都道府県労働局に提出した支給申請書、添付書類の写しなどは、支給決定されたときから5年間保存している必要があります。

注意書きの内容については、事業主にも十分ご理解いただく必要があります。書類の保管も5年間ですので、助成金関連の資料は大切に保管しておいてもらわなければなりません。

不正受給はどのように発覚する?

留意事項にある通り、助成金の申請をすると立ち入り調査が入り、従業員への聞き取り調査や帳簿が事務所に保管されている帳簿をチェックされることがあります。その際、「実施した」と申告していたものが実際は実施していないことが発覚したり、要件に「該当する」としていたのに該当していなかったことが発覚したりすることが多いです。

例えば、キャリアアップ助成金の正社員化コースは、初めから正社員とすることを約束していた場合は、実際に有期契約社員を正社員化しても助成金の対象とはなりません。でも当初から正社員化することが確定していたか、確定していなかったか、なんて雇用契約書からは伺い知れないですよね。

そのため、助成金申請時に、「正規雇用労働者として雇用することを予め約していたなかった」ことについて従業員本人が直筆署名をした書類を提出することになっています。実際は初めから正社員にするからと言われて入社していたとしても、従業員は事業主から「この書類にサインして」と言われれば、言われるがままにサインしてしまうかもしれません。

そんな事業所に労働局の審査官がいきなり立ち入り調査にきたとしましょう。突然訪問してきた審査官は従業員に直接聞き取りをするかもしれません。書類には軽い気持ちでサインをした従業員も、審査官に確認をされたら事実を話す確率が高いです。というか、事業主から助成金の説明なんてろくに受けていなかった場合、何もわからない従業員は事実を話すしかないのです。

それで不正受給と判断されたら先ほどのペナルティを受けることになります。くれぐれも、不正なんてバレないでしょ! なんて軽い気持ちでやらないように。