どんな仕事で独立する?社労士の仕事リスト

社労士を目指す人増えているらしい。最近、よく耳にするんです。受検者数の推移を見ると増えていないんですが、勉強している人がまわりにいるとか人気が出てるとか、ちらほら聞くんですよね。社労士、そんないいかなぁ? みんな何に魅力を感じてるんですかね。お前が言うなって(笑)

ということで今回は……

社労士として独立開業するには

独立開業している社労士がどんな仕事をしているかについて書きたいと思います。勤務社労士だと会社の人事総務的な部分がメインになりますが、独立開業するとなると、幅広い分野から自分の専門分野を決めることになります。

社会保険労務士法第2条1項の1号から3号に社労士の業務が定義づけられています。

ラベル名
  1. 法別表1に掲げる労働社会保険諸法令に基づいて申請書等を作成すること
  2. 申請書等について、その提出に関する手続きを変わってすること(「提出代行事務」)
  3. 労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告、審査請求、再審査請求その他の事項(申請等)について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査もしくは処分に関し当該行政機関等に対する主張もしくは陳述について、代理すること(「事務代理」)
  4. 個別労働紛争解決促進法6条1項の紛争調整委員会における同法5条1項のあっせんの手続き並びに障害者雇用促進法74条の7第1項、男女雇用機会均等法18条1項、育児・介護休業法52条の5第1項および短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律25条1項の調停の手続きについて、紛争の当事者を代理すること
  5. 地方自治法の規定に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争に関するあっせんの手続きについて、紛争の当事者を代理すること
  6. 個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続きであって、個別労働関係紛争の民間紛争解決手続きの業務を公正かつ的確に行うことができると認められる団体として厚生労働大臣が指定するものが行うものについて、紛争の当事者を代理すること
  7. 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(電磁的記録を含み、申請書等を除く)を作成すること
  8. 事業における労務管理その他の労働に関する事項および労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること

1~7は社労士の独占業務で、1~3の業務を1号業務とか3号業務とか呼びます。8は労務コンサルタントの位置づけなので、社労士でなくてもできます。4~6の紛争解決手続代理業務は社労士の中でも、特定社会保険労務士に限られています。

すでに業務をする資格があるならば、あとはどんな分野で誰にサービスを提供するかがポイントになります。誰向けかというのは、大きく分けて、会社向け(BtoB)でやるのか、個人向け(BtoC)でやるのかですね。
では、まず会社向けの業務の内容から。

会社向けの仕事

労務関係の相談を一手に引き受ける顧問社労士

社労士は中小企業向けに仕事することが多いです。大企業では人事総務部があるので、保険手続きや給与計算などの日常業務を行う専任の担当者がいます。もしくはバックオフィス専門のグループ会社があることもあります。

それに対して、中小零細企業では人事総務の専任担当者はおらず、社長が自らやっているケースがあります。給与計算などのお金に関わることはデリケートな情報のため、社員にちょいとお願いするにも難しく、社長がやっているんですね。だから社会保険や労働保険の手続きがほっぽらかしになったり、法律で決まっているはずのことがないがしろになってブラック企業化したり……。

そこで社労士の出番です! 社労士は社会保険手続きや給与計算、退職時の離職証明書の作成など、定常的に発生する業務のアウトソーシング先として、またトラブルが起きた際の社長の相談相手として経営者をバックアップします。

「モンスター社員がいて、何とか解雇したいんですけど」「病気で休職中の社員が休みを延長したいと言ってきているんですが」
といった相談が来ることもあります。相手の親身になり、ダンボの耳にして話を聞き(相槌を打つことも忘れずに)、適切なアドバイスをすることで信頼を積み重ねていきます。

しかしながら、中小企業への関与率でいうと社労士は約3割、それに対して税理士は約8割、というデ一夕もあり、社労士の関与が極めて低いことがわかります。まだまだ社労士が活躍できる場所はありそうですね。

就業規則など、人事制度の構築を専門とする社労士

就業規則は会社と社員のルールブックです。いざ紛争が起きたときに活躍するのが弁護士、問題が起きないよう事前に対策を立てるのが社労士です。最近はネットで情報を得やすいため、社員が会社を相手取って裁判を起こすケースも増えています。会社も自分の身を守ることができるよう、就業規則により会社側の姿勢を示すことで、トラブルを未然に防止する必要があります。

また、優秀な人材は企業間の取り合いになるため、人材獲得のための攻めのアドバイスをする社労士もいます。その会社の労働環境を丁寧にヒアリングし、社員の働きやすい環境を整備することで同業他社に負けないよう企業の人気を高めます。賃金規程についても業界水準を研究して、制度の構築を支援している方もいます。

皆さんも耳にするかもしれませんが、会社経営の資源は「ヒト・モノ・カネ」と言われます。なぜヒトが一番最初に来るのか? それはヒトが最もキャッシュフローを生む資産だからです。モノやカネはバランスシートに載って1年単位で動きますが、ヒトは企業の生産力そのものに関わります。優秀な人材の獲得、定着は企業成長の要です。

助成金を専門とする社労士

助成金の申請書類の作成や提出代行も、社労士の独占業務の一つです。各種助成金制度に精通し、会社に最適な助成金を案内します。助成金の申請には、就業規則、労働条件通知書、出勤簿、賃金台帳が関係します。申請に伴い、雇用保険や社会保険の手続きを希望される方についてはスポットで支援してもいいでしょう。

個人向けの仕事

社労士の専門分野の一つに「年金」があります。個人向けに年金を加味した生活設計のアドバイスをする社労士もいます。

年金相談、家計相談に乗る社労士

年金の知識を生かし、ファイナンシャルプランナーや年金アドバイザーの資格と掛け合わせて、年金相談や家計相談に乗る社労士もいます。公的年金制度を熟知しているからこそ、それを踏まえて、足りない資金をどうやって用意していくかというアドバイスをすることができます。

また、年金は受給開始年齢を遅らせればもらえる額が増えますので、何歳から年金をもらうのがいいのかと悩む人も多いです。そして制度をよく知らずに、65歳前の年金は受給開始時期を遅らせても増えることはないのに、65歳以上の年金と混同してもらわないで我慢してしまう方も。(65歳前の年金は我慢する意味はなく、時効がきたら受給権が消滅するだけです。)そういった方に保険料の納付状況や他の年金をもらっていないかなどを聞き、個別の相談に乗ることでも活躍できます。

障害年金の手続き支援

年金手続きの中でも、障害年金の手続きは特に複雑です。書類も専門的ですし、障害の程度がどのように判断されるかは書類の作り方によるところがあります。障害の等級が重いほど年金額が大きくなるので、障害を抱えたご本人やご家族が頑張って申請をしても、その症状について十分に書類に表現しきれず、本来の症状よりも軽い等級で決定されてしまうこともあります。

手続きする際は、過去にどれだけ年金の保険料を払ってきたか、現在の障害の状態、発症から申請書提出までの期間、治療状況、仕事をしていたか、日常生活の状況、初診日・障害認定日はいつか、交通事故や労災適用ではなかったか、家族構成および収入など。普段考えもしないような情報を元にして、申請書類を作成します。

その障害について最初に診察を受けた病院の医師の証明が必要ですので、初診日が何年も前の場合は、余計に大変です。初診日の証明は必須のため、その病院の医師の捜索から始まります。また、必要な書類に医師の証明をもらうにも、医師も本業ではないので、記入してもらいやすいよう付箋を貼るなどの工夫もしたり。

社労士は手続きを希望する方から委任状をもらい、代理人として年金事務所へ出向いての相談・記録確認から、請求手続きが終わるまでの一連の流れをすべて請け負います。

あっせん代理

これは社労士の中でも特定社労士のみができる業務に、業務紛争解決手続代理業務(あっせん代理)という仕事があります。会社と社員の間でトラブルが起きれば最終的には裁判で決着をつけることとなりますが、労働者は知識もお金もあまり持っていないことが多いです。

そこで都道府県が間に入って、裁判ではなく話し合いで折り合いを付けよう、というのがあっせん制度です。代理人は、都道府県にある労働委員会や労働局にある紛争調整委員会で、あっせんの書類作成、相談、和解の交渉、あっせんの結果、合意した内容を文書にします。折り合いがつかなければ最終的には裁判となります。

紛争解決の一環として、各都道府県の総合労働相談コーナーなどで相談や情報提供をしている社労士もいます。なお、特定社労士になるには、全国社労士連合会が行う特別研修を受けて、紛争解決手続代理業務試験に合格する必要があります。

終わりに

他にも新人研修や管理職研修を専門にしている社労士や、採用面の支援を専門とする社労士、語学力を生かして外国人を雇用する企業にターゲットを絞って活躍する社労士など様々です。これまで携わってきた業務との掛け合わせ、得意な分野、好きな分野と社労士業務を掛け合わせて、独自の活躍の場を見出すことが飛躍のポイントになるでしょう。